四月六日 生活環境の変化

さて、私達が入隊し、程なくして起こった事件としては『トイレットペーパー品薄』が有名だった。 これは当時第八中隊の補給陸曹を務めていた野口一曹のありがたいお言葉である。

「君たちの一回のトイレットペーパーの使用は概ね一メートル前後であるとお偉い方が推測している。 が、どう見ても需要が供給を上回っている、何に使っているかは訊かないし、知りたくもない。 とりあえず当面は購買部等を利用してしのぐように」

いきなり生活環境が変わった為に身体の調子を崩し、便所に駆け込む隊員が散見されたが、 私に尊敬する森見登美彦先生の表現をお借りして言わせればジョニーが自己主張を始めたのではないかと推測する。 恐らく野口一曹も同じような想像をしていたに違いない。

そのオイルショックさながらの事件であるがその時既に面倒見の良さからお母さんと呼ばれていた 鈴木氏がいち早く異変に気付き行動を起こしていた。彼は予め購買にてトイレットペーパーを購入していたのである。 この事件にてその活躍を認められた鈴木氏は見事三区隊一班の補給部隊長となったのである。




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