五月十日 外哨長は刺・射殺? その2

「おい、森川二士。歩哨の一般守則言ってみろ」


何と言う事か。まだ全然覚えていないのに当たってしまった。 これは人生最大のピンチ…………いや好機かもしれない。 この難題を見事突破した暁には全新隊員から尊敬の眼差しを向けられ、 世の女性と言う女性からは黄色い声を向けられ、人生の勝ち組と言うやつに仲間入りできるかもしれない。 私は密かに含み笑いを浮かべ、口を開いた。

「……て、敵に関し発見したならば、刺、射殺する。 味方の部隊、部隊幹部、斥候、巡察、伝令は刺、射殺する。前哨長は、刺、射殺する。 彼我不明の時は、刺、射殺する。車両は停止させて、刺、射殺する。 出発する斥候は、刺、射殺し、帰来する斥候は、刺、射殺する。銃は手から離してはならない」

悪くない、我ながらなかなか悪くない答えをだしたつもりだ。

「……お、お前、刺・射殺しすぎだろ!?」

助教と新隊員たち一同が驚愕の眼差しで私を眺めていた。これからは私に対しひれ伏し敬い丁重に扱うことであろう。


「……とりあえず、腕立てな」

「えぇッ!!?」

何故こうなった!!?




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