五月二十日 自衛官神話大系 その4
「森川君、需品科への配属おめでとう!」
例によって例の如く中隊長殿が私を祝福してくれる。
「あ、ありがとうございます……」
何故だろうか?悪い予感しかしない。
「早速だが部隊にこの荷物を納品してきてくれ」
中隊長が目の前に置かれた荷物を指して言う。
「あの……なんだか先程と同じパターンな気がするんですが……」
「何?中身が知りたいだと!?」
「そんなこと聞いてません!!」
「仕方ないな」
「人の話聞けよッ!!」
中隊長殿は私の話などには耳も貸さず勝手に包を開けてしまった。
「見てしまったか……」
「理不尽過ぎませんか!?」
「ハッピーパウダーを見てしまったからには仕方がない」
「何をどう考えてもお菓子の粉じゃないですか」
「君は知らないようだが、この幸せになれる白い粉、ハッピーパウダーは末端価格百五十万円で取引されている。 麻薬なんかよりもよりハッピーになれるのだ!」
「中隊長、ご自分でかなり意味深な発言されていることを自覚されてますか?」
「兎に角、君には自衛隊を大好きになってもらうしかないみたいだな……」
お決まりの展開である。どうせここら辺でフェードアウトして、
「う、うぎゃあぁぁぁ!!」
と叫び目を覚ます筈だ。何も心配いらない。しかし、次に私を待ち受けていたのはとんでもない出来事なのであった。