六月二十四日 おまけ〜京都幻想滞在記〜 その1

待ちに待った修了休暇、待ちくたびれた挙句干からびてしまった私は最早 人間としての在るべき姿を失っていたらしく、檻の外に出たばかりの私を見た子連れの母親は 必死の形相で我が子を庇いながら私を威嚇してきた。

酷く傷付いた。近くのコンビニににて自分の顔を確認した。

「私はこんなに不細工だったろうか?」

記憶にある私の顔立ちはもっと端正であった筈だ。太陽を好むコンガリ焼けた肌の色、 眉は薄すぎず濃すぎず、キリっとしており、瞳は凛としてただ真実のみを写し、鼻は高く、 微笑を湛えた唇はお茶の間のアイドルとしての名を欲しいままにしてきたのではなかったであろうか?

それがどうであろう、ゲッソリとやつれこけた頬、とても訓練で慣らしているとは思えない青白い血色、 死んだ魚の目とはまさにこれである。なんともはや。

こなってしまった責任の所在はすべて自衛隊にあると言って良い。国防などと大義名分を盾に税金を貪り食らう お偉い方は即刻私に慰謝料を支払って叱るべきである。




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